~たる者/~ともあろう者が/~としたことが
名詞(人・組織):× + たる者
ともあろう者が
としたことが
会話
百恵:今朝、課長ともあろう者が、混んだ電車の中で、競艇新聞を広げていたのよ。
佐藤:当社の課長たる者、せめて一般新聞にしてほしいとは思わない?
百恵:それって社長の台詞みたい。失礼だけど、一介の平社員たるあなたの口から聞くとは思わなかったわ。
解説
これらの文型は「<人や国・会社など擬人化できる対象>は当然~であるべきだ」という社会的常識・評価を共通の認識にしています。
「~たる者」はほとんどの場合、「~なければならない/べきだ」と呼応し、当然あるべき姿はどうかという判断を後件で表します。「ともあろう者が」は、「当然そうあるべきなのに、実際はそれに反して~」と矛盾した事態を述べる表現で、非難・批判・疑問を強く表します。
一方、「~としたことが」は自分を含めて「~がそんな過ちをするはずがないのに、どうして~んだろう?」と不注意や思慮不足の結果、予想しなかった過ちを犯したときに使われます。
例文
1.仮にも医者たる者は、「医は仁術」と心得るべきだ。
2.教師たる者、生徒のお手本にならなければならない。
3.政治家ともあろう者が、金儲けのために目の色を変えるとは何事か!
4.警察官ともあろう者が、暴力団に捜査情報を流していたとは、許し難いことだ。
5.私としたことが、どうしてこんなミスをしたんだろう。
例題
1) 日頃、何事にも慎重な彼(としたことが/たる者/ともあろう者が)、このようなミスをする(とは/というのは)、全く予想(しか/だに)できないことだった。
2) 信用第一の銀行( )( )あろう者( )、焦げ付き債権の事実を(隠す→ )続けていた。
前課の解答
1) に対して(→文型322)/たりとも/ず(→文型121)
2) たりとも/渡す(禁止)/に(慣用語「~を合い言葉にする」)