充分な価値のあるものだと思えるような、自分自身の基準を持つということである。 (小山登美夫 『その絵、いくら? 現代アートの相場がわかる』による)
そうなったら出ていく他はない。
水面に浮いた生活するアメンボは、水が汚かろうと富栄養化ふえいようかしていようと一向にかまわない。彼らにとって重要なのは、水の表面張力だけである。たとえ化学的に無害な物質によってでも、水の表面張力が低下すれば、彼らは溺おぼれてしまう。
やたらと動物たちに遠慮することはないのかもしれないが、それぞれの動物にとってのこのキー・ポイントは侵してはならない。 (日高敏隆『春の数えかた』による)
(注1)堰を切ったように:ここでは、勢いが止まらずに
(注2)ギャラリー:美術品の展示場 (注3)対峙する:向き合う
63 AとBはアートを買うことについて、どのような考えを持っているか。
1 Aは一つ買ってみることがアート収集につながると考え、Bは心を動かされたらすぐに買ったほうがよいと考えている。
2 Aは最初に買った作品がその後のアート収集に影響すると考え、Bはアートを理解するには買うことが欠かせないと考えている。
3 Aは市場価値の高いものを買うことが重要だと考え、Bは作品が好きだと思う理由をよく考えてから買うことが大切だと考えている。
4 Aは買うほどではないと思った作品でも買うことが重要だと考え、Bは作品を選ぶときの基準を高く設定することが大切だと考えている。
64 アートの価値について、AとBが共通して述べていることは何か
1 アートの価値と、市場価値は連動している。
2 アートの価値と、買い続けることで分かるものである。
3 アートの価値とは、買い手の価値観で決まるものである。
4 アートの価値は、多くの人に共有される価値観によって決められる。
問題12 次の文章を読んで、後の問いに対する答えとして最もよいものを、1 2 3 4から一つ選びなさい。
眺めていると、東京の空には意外にたくさんの鳥が飛んでいる。カラスやスズメばかりではない。カモメもいるし、僕には種類のよくわからない鳥もいる。それらは町人や人家に「適応」した都市鳥ではなく、野生の鳥である。そのような鳥が、コンクリートのビルの上を何事もないように飛び、何の屈託もなく、ビルの一角にとまる。まるで森や林の木の枝にとまるように。(中略)
ツバメが人家の軒先に巣をつくるのは、スズメを避けるためだということを明らかにした研究がある。スズメはふだんはあまり人間を恐れないが、ひなを育てるときは人間を避ける。だから、人がひんぱんに出入りする店先などには巣をかけない。ツバメはそれを利用する。そういう店先の軒に巣をつくれば、嫌なスズメはやってこない。昔、ツバ