メがたくさん巣をかけると、店は繁盛するといわれた。話は逆であって、繁盛している店にツバメが集まってくるのである。
今、大都市にはツバメがめっきりすくなくなった。かつてのように、どの通りを歩いていても、子育てのために餌を持ち帰るツバメが飛び交う姿は見られなくなった。おそらくツバメたちは、町そのもののつくりや、人間の存在が嫌いになったのではないだろう。町が人工的にきれいになりすぎて、餌にする虫があまりにも減ってしまったので、町ではひなも育てられなくなったから、都会には棲ま(注1)なくなったのである。
こういう事例を見ていると、自然保護とか自然との共生ということについて、少し考え直す必要があるのではないか、という気がしてくる。
多くの動物たちはわれわれが思っていたよりもずっとしたたかである。自分たちの生活の基盤になる条件さえそろっていれば、たとえその条件が人工のものであとうとも、そしてそこをたくさんの人間がうろうろしていようとも、平気で棲みついてしまう。カラスやツバメのように、人間がいることをむしろ利用しているものだって、けっして少ないとはいえない。都市周辺で急速に増えつつあるタヌキやキツネもその例である。人間がいるおかげで豊富な食物がたやすく手にはいるようになった。命がけで食物を探す必要はなくなったのだ。
けれど、都市化によってツバメは餌を失った。モンシロチョウ(注2)は日なたを失った。
(注1)棲すむ:住む (注2)モンシロチョウ:チョウの一種類 (注3)アメンボ:昆虫の名前
(注4)富栄養化ふえいようか:栄養のある物質がたまり、小さい生物が異常発生する状態になること
65 ツバメが人家の軒先に巣をつくる理由として適当なのはどれか。
1 人家の軒先では、ツバメが子育てに必要な餌えさを得ることができるから
2 人家の軒先は、店の軒先ほど人の出入りがひんぱんではないから
3 ツバメの天敵であるスズメが、常に人間を恐れて近寄らないから
4 ツバメの嫌うスズメが、人のいるところではひなを育てないから
66 筆者によると大都市でツバメが少なくなったのはなぜか。
1 森や林が失われたから 2 巣をつくりにくくなったから
3 カラスやスズメが増えたから 4 食物を得るのが難しくなったから
67 多くの動物たちはわれわれが思っていたよりもずっとしたたかであるとあるが、どのような点でしたたかだと筆者は考えているか。
1 都会であっても森や林があれば巣を作る 2 生きるための条件が整えば都会で生活する
3 都会であっても餌えさがなければ命がけで探す 4 人間を避けることができれば、都会に棲すみつく
68 この文章で筆者が言いたいことは何か。
1 都会を去った動物たちが再び人間と共生できるような対策を
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